シルデナフィルの禁忌
シルデナフィルの禁忌に関する詳細な解説を行います。以下に挙げられている患者に対してシルデナフィルは投与しないことが推奨されています。これらの禁忌は、薬の作用や相互作用により重大な副作用や健康リスクを引き起こす可能性があるためです。
シルデナフィルの成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- シルデナフィルの成分に過敏症がある患者は投与しないべきです。過敏症反応は、アレルギー症状(発疹、かゆみ、呼吸困難など)として現れる可能性があります。過去にシルデナフィルやその類似成分に対してアレルギー反応を示した場合は、再投与は避けるべきです。
硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者
- 硝酸剤や一酸化窒素供与剤(例えばニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなど)とシルデナフィルを併用すると、重篤な低血圧が引き起こされる可能性があります。これらの薬剤は血管を拡張させ、血圧を下げる作用があり、シルデナフィルも血圧を低下させるため、両者を併用することで血圧が過度に低下し、危険な状態(例えばショック、心停止)に至る可能性があります。
心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者
- 心血管系に重大な障害がある患者(例えば、心不全、狭心症、重度の高血圧など)は、性行為そのものが健康にリスクを伴うことがあります。シルデナフィルは勃起を促進するため、性行為に関連する身体的負荷を高めることがあります。これにより、心血管系にストレスがかかり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増大するため、心血管疾患が進行している患者には投与すべきではありません。
重度の肝機能障害のある患者
- シルデナフィルは肝臓で代謝されるため、重度の肝機能障害がある患者には適切な代謝が行われず、血中濃度が高くなる可能性があります。これにより、副作用のリスクが増加するため、重度の肝機能障害がある患者には投与しないべきです。
低血圧の患者(血圧<90/50mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧の患者(安静時収縮期血圧>170mmHg又は安静時拡張期血圧>100mmHg)
- シルデナフィルは血管を拡張する作用があり、血圧を低下させることがあります。すでに低血圧(収縮期血圧が90mmHg未満、または拡張期血圧が50mmHg未満)の患者に投与すると、さらに血圧が低下し、めまい、失神、ショックなどの症状が発生する可能性があります。
- 逆に、高血圧が管理されていない患者にも投与すべきではありません。治療が行われていない高血圧の患者には、血圧が不安定である可能性があり、シルデナフィルの影響でさらに血圧が変動する恐れがあります。
脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者
- 最近6ヶ月以内に脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を経験した患者には、シルデナフィルの使用は避けるべきです。これらの患者は、心血管系のリスクが高く、性行為による負荷やシルデナフィルの血圧降下作用が再発や新たな心血管イベントを引き起こす可能性があります。
網膜色素変性症患者
- 網膜色素変性症は、視覚に関連する遺伝的な疾患であり、ホスホジエステラーゼ(PDE)の遺伝的障害が一部の患者に見られます。シルデナフィルはPDE5を選択的に阻害しますが、この疾患を持つ患者では、PDEの異常が原因で視覚障害が悪化するリスクが増す可能性があります。そのため、網膜色素変性症患者にはシルデナフィルを避けるべきです。
アミオダロン塩酸塩(経口剤)を投与中の患者
- アミオダロンは、抗不整脈薬であり、シルデナフィルとの併用でQT延長や心電図異常が引き起こされる可能性があります。シルデナフィルが血中濃度を上昇させることがあり、これにより心血管系のリスクが増大するため、アミオダロンと併用する患者には注意が必要です。
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者
- リオシグアトは、sGCを刺激してcGMPの生成を促進する薬剤であり、シルデナフィルの作用と相互作用する可能性があります。両者を併用すると、血圧が過度に低下するリスクがあるため、併用は避けるべきです。
まとめ
シルデナフィルの禁忌患者に関するこれらのガイドラインは、薬の作用や相互作用に基づく重大な副作用や健康リスクを避けるためのものです。特に、心血管系の疾患がある患者や低血圧、高血圧が管理されていない患者、さらには重度の肝機能障害や視覚系の障害を持つ患者に対しては、慎重に使用する必要があります。禁忌に該当する患者には、シルデナフィルを避け、代わりの治療法を検討することが重要です。
投稿 シルデナフィルの禁忌 は メプラス - MEPLUS に最初に表示されました。