シルデナフィルの特定の背景を有する患者に関する注意
シルデナフィルの添付文書に記載された特定の背景を有する患者に関する注意について、各項目を詳細に解説します。
合併症・既往歴等のある患者
脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者
- 心血管リスクの確認: 脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの心血管疾患の既往が最近6ヵ月以内にある患者は、性行為を行うこと自体が心臓に負担をかけるため、シルデナフィルを投与する際には十分に注意する必要があります。シルデナフィルは血管拡張作用を持つため、血圧の低下を引き起こす可能性があり、これが心血管系に悪影響を及ぼすリスクを高める可能性があります。したがって、これらの疾患を持つ患者では、心血管系の状態を十分に確認し、安全性が確保されているかを慎重に判断する必要があります。
陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者
- 構造的異常に関するリスク: Peyronie病や陰茎の屈曲、線維化がある患者は、性行為が困難になる可能性があり、痛みを伴うこともあります。これらの患者は、勃起時に陰茎に負担がかかる可能性が高いため、シルデナフィルの使用に際しては、勃起の質や持続に関して注意が必要です。症状が進行している場合、治療を進める前に慎重に評価する必要があります。
持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者
- 持続勃起のリスク: 持続勃起(プリアピズム)は、鎌状赤血球性貧血や多発性骨髄腫、白血病などの病歴がある患者で発症しやすいことがあります。これらの疾患では、血液の流れに異常が生じるため、勃起が持続しやすくなる可能性があります。持続勃起は陰茎に損傷を与えることがあるため、こうした患者にシルデナフィルを使用する際には十分な監視が必要です。
PDE5阻害薬又は他の勃起不全治療薬を投与中の患者
- 併用使用のリスク: シルデナフィルを他のPDE5阻害薬や勃起不全治療薬と併用することは、安全性が確立していないため、推奨されていません。併用することで、血圧の低下や不測の副作用が強く現れる可能性があります。患者には他の薬剤と併用しないように指導し、服用する薬剤について常に医師に報告することが求められます。
出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者
- 出血リスクの増加: シルデナフィルは血小板の凝集を抑制する作用を持ち、出血を引き起こす可能性があります。出血性疾患や消化性潰瘍の患者に投与すると、この作用が強まり、出血のリスクが増加します。これらの患者には慎重に投与し、症状の監視が必要です。
多系統萎縮症(Shy-Drager症候群等)のある患者
- 低血圧のリスク: 多系統萎縮症(Shy-Drager症候群等)を患っている患者は、自律神経系に障害があるため、低血圧が進行することがあります。シルデナフィルの血管拡張作用がこれらの患者の既存の低血圧を悪化させる恐れがあるため、使用に際しては慎重に行う必要があります。
腎機能障害患者
重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者
- 血漿中濃度の増加: 腎機能が重度に障害されている患者では、シルデナフィルの排泄が遅延するため、血漿中濃度が増加します。これにより副作用のリスクが高まるため、低用量(25mg)から投与を開始するなど、慎重に投与を行う必要があります。
肝機能障害患者
重度の肝機能障害のある患者
- 投与不可: シルデナフィルは主に肝臓で代謝されるため、重度の肝機能障害がある患者では代謝が遅延し、血漿中濃度が高くなる可能性があります。このため、重度の肝機能障害がある患者には投与しないことが記載されています。
肝機能障害のある患者(重度の肝機能障害を除く)
- 低用量で慎重に投与: 重度の肝機能障害がない場合でも、肝機能障害のある患者に対しては、シルデナフィルの血漿中濃度が増加することが認められています。低用量(25mg)から投与を開始し、患者の反応を見ながら慎重に投与を行うことが推奨されています。
高齢者
- 低用量で慎重に投与: 高齢者では、シルデナフィルのクリアランスが低下し、血漿中濃度が増加することがあります。このため、**低用量(25mg)**から投与を開始し、慎重に投与を行うことが求められます。高齢者では副作用が強く出る可能性があるため、特に注意が必要です。
まとめ
シルデナフィルは、特定の疾患や状態を持つ患者に対して慎重に使用する必要があります。これらの患者群には、心血管疾患、腎機能障害、肝機能障害、高齢者、出血性疾患などが含まれ、副作用やリスクが高くなる可能性があるため、投与前に十分な評価と慎重な管理が求められます。また、併用薬や疾患による影響を考慮し、必要に応じて用量調整や監視を行うことが重要です。
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