慢性気管支炎と肺気腫

慢性気管支炎」と「肺気腫」はどちらもCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の構成要素ですが、病気の仕組みも症状の現れ方も少し異なります。


慢性気管支炎 vs 肺気腫

項目 慢性気管支炎 肺気腫
病変部位 気管支(空気の通り道) 肺胞(酸素と二酸化炭素の交換場所)
原因 主に喫煙、空気汚染、感染 主に喫煙、まれに遺伝性(α1-アンチトリプシン欠損)
主な症状 咳と痰が長期間続く 息切れ(特に運動時)
呼吸音 ラッセル音(ゴロゴロ)、喘鳴(ゼーゼー) 呼吸音が減弱、胸が膨らんだような音(過膨張)
呼吸困難の程度 初期は軽度〜中等度、進行で悪化 早い段階から息切れが強い
痰の量 多い(特に朝) 少ないまたはなし
咳の頻度 頻繁、毎日のようにある 少ないまたは軽い
胸部レントゲン 正常または気管支の肥厚 肺が大きく見える(過膨張)、横隔膜が平坦になる
体型傾向(進行例) むくみがち・やや肥満(ブルー・ブロータ) やせ型・胸郭が樽状(ピンク・パファー)
病態の可逆性 不可逆(治療で改善はするが完全には戻らない) 同上

病態のイメージ

◉ 慢性気管支炎:

  • 気管支の内側に炎症が起きる
  • 粘液が増えて、咳や痰が出る
  • 気道が狭くなり、空気が通りづらくなる

◉ 肺気腫:

  • 肺胞の壁が壊れて、酸素交換ができなくなる
  • 壊れた肺胞は再生されず、息切れの原因になる
  • 肺が空気を溜めすぎて「膨らみすぎる」こともある(肺の過膨張)

臨床的な違いのたとえ

  • 慢性気管支炎 →「ホースの中にドロドロの粘液が詰まってる」感じ
  • 肺気腫 →「風船が破れて空気が抜けてしまい、うまく膨らまない」感じ

共通する治療

  • 禁煙が最重要!
  • 吸入薬(気管支拡張薬)
  • 呼吸リハビリ
  • 酸素療法(進行した場合)
  • ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌)

 

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