ザガーロの特定の背景を有する患者に関する注意

ザガーロ(一般名:デュタステリド)の添付文書に記載されている「特定の背景を有する患者に関する注意(項番9.3、9.5~9.7)」は、特定の患者層に対して予測される薬理学的リスクに基づいて設定されています。それぞれについて詳しく解説します。


9.3 肝機能障害患者

▶ 9.3.1 重度の肝機能障害のある患者:禁忌

  • 理由:ザガーロは主に肝臓で代謝される薬剤です。
  • 重度の肝障害(例:肝硬変、Child-Pugh分類でCなど)では、
    • 薬の代謝が著しく低下する
    • その結果、血中濃度が過剰に上昇する可能性があり、
    • 副作用(例:性機能障害、乳房の女性化など)や毒性のリスクが高くなる

結論重度の肝機能障害がある人にはザガーロを投与してはならない。


▶ 9.3.2 軽度~中等度の肝機能障害のある患者

  • この患者層への薬物動態データは存在していない
  • ザガーロは肝臓で代謝されるため、これらの患者においても
    • 代謝速度が遅くなり血中濃度が上昇する可能性は否定できない。

結論:軽度~中等度の肝障害患者には慎重投与が必要。医師の判断とモニタリングが重要。


9.5 妊婦

  • ザガーロは妊婦には禁忌です。理由は以下の通り:

◉ 実験データによる裏付け

  • ラットおよびウサギの試験で、雄胎児の外性器(陰茎や陰嚢)の雌性化が確認された。
  • これは、デュタステリドがジヒドロテストステロン(DHT)を抑制し、男性胎児の正常な性器形成を阻害するため。

結論

  • 妊娠中の女性がデュタステリドに経口または経皮的に曝露されることは避けなければならない
  • 服用カプセルの内容物に触れることも厳禁です。

9.6 授乳婦

  • 女性に投与されることはないが、授乳婦にも投与不可
  • 乳汁中への移行の有無は不明ですが、ホルモン調整作用を持つ薬剤のため、
    • 万が一乳児に移行した場合には、成長や性発達に影響を及ぼす可能性がある。

結論:授乳婦への安全性が確認されておらず、投与してはならない


9.7 小児等

  • ザガーロは小児への適応がない
  • 小児を対象とした有効性・安全性を評価する臨床試験は行われていない
  • 小児は性ホルモンに敏感であるため、誤投与による発育障害、性徴異常などのリスクがある

結論:小児・思春期前の若年者には使用してはならない


全体まとめ表

分類 状態 ザガーロの対応・注意点
肝機能障害 重度 禁忌(代謝障害により血中濃度上昇のリスク)
軽度〜中等度 慎重投与(安全性データなし)
妊婦 すべての妊婦 禁忌(雄胎児の性器発達阻害のリスク)
授乳婦 すべての授乳婦 禁忌(乳汁移行の可能性あり、安全性不明)
小児等 すべての小児・未成年 禁忌(試験未実施、安全性・有効性未確認)

 

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