ザガーロの重要な基本的注意

ザガーロ(デュタステリド)の添付文書に記載されている「重要な基本的注意(8.1 および 8.2)」は、安全な使用と医療上の正しい判断を行ううえで非常に重要です。


8.1:経皮吸収によるリスク – 女性や小児の接触注意

内容の要点

  • デュタステリドは、皮膚からも体内に吸収される
  • そのため、女性(特に妊婦)や小児は、カプセルから漏れた内容物に触れないように注意が必要
  • 万が一触れた場合は、すぐに石鹸と水で十分に洗い流す

なぜ注意が必要か?

  • デュタステリドは、男性ホルモン(DHT)の生成を強力に抑制する薬剤です。
  • 妊婦や胎児(特に男児)がこれに暴露すると、胎児の生殖器の正常な発達に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
  • 小児もホルモンの影響を受けやすいため、誤って触れることのないよう注意喚起がされています。

8.2:PSA(前立腺特異抗原)値への影響と注意点

PSAとは?

  • PSA(Prostate-Specific Antigen)は、前立腺から分泌されるたんぱく質で、血液検査で測定可能。
  • 前立腺がんのスクリーニング(検査)や経過観察の重要なマーカーです。

ザガーロがPSAに与える影響と注意点

◉ デュタステリドはPSA値を 50%程度低下させる

  • ザガーロ(通常0.5mg/日)の服用を6か月以上続けると、前立腺がんがあってもPSA値が下がる傾向にある。
  • これは、がんの有無にかかわらず起こるため、PSAの「見かけの正常化」が起こる

◉ PSAの評価方法の変更

  • 服用6か月後のPSA値を新たなベースライン(基準値)として扱う。
  • PSAを評価するときは、その値を2倍して比較する(例:1.8 ng/mLなら、2倍の3.6 ng/mLと見なして診断基準と照らす)。

◉ 検査医師への情報提供が必須

  • ザガーロ服用中の患者がPSA検査を受ける場合、必ずその事実を医師に伝える必要がある。
  • 伝えないと、がんの見逃しや不要な生検の回避に支障が出る可能性がある。

その他のPSA関連注意点

注意点 解説
本剤服用中にPSA値が持続的に上昇する場合 ① 前立腺がんの可能性、② 薬を正しく飲んでいない(服薬不遵守)の可能性を考える必要がある
PSAの「free / total比」 ザガーロはこの比率には影響しないので、%free PSAの測定は通常通り解釈可能

総まとめ:8.1・8.2 のポイント表

項目 内容
8.1 経皮吸収リスク 女性・小児は漏れた薬剤に触れないこと。触れたらすぐに洗う。
8.2 PSAへの影響 PSA値を約50%低下させるので、PSA評価は慎重に。測定値を2倍して判断する。検査前には服薬の事実を必ず伝える。

ザガーロは、AGA治療薬であると同時に、前立腺肥大症にも使用されていた薬です。そのため、ホルモンや腫瘍マーカー(PSA)に関する配慮が重要です。

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