シアリスの陰茎動脈及び海綿体の弛緩増強作用

シアリス(タダラフィル)の陰茎動脈および海綿体の弛緩増強作用について、詳細に解説します。

1. タダラフィルの弛緩作用

タダラフィル(シアリス)は、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害剤として作用します。PDE5は、陰茎海綿体内でcGMP(環状グアノシン一リン酸)を分解する酵素であり、cGMPは平滑筋を弛緩させて血管を拡張させる役割を持っています。タダラフィルはPDE5を選択的に阻害し、cGMPの分解を防ぐことで、その濃度を高く維持し、陰茎の血管を弛緩させます。

具体的には、タダラフィルは以下のように働きます。

2. 陰茎動脈及び海綿体平滑筋の弛緩

  • 陰茎動脈の弛緩: 陰茎への血流は、陰茎動脈を通じて供給されます。タダラフィルは、陰茎動脈にある平滑筋に作用し、その弛緩を誘発します。これにより、陰茎動脈の内腔が拡張し、血流が増加します。
  • 海綿体の弛緩: 陰茎には海綿体という血液を蓄える組織があります。海綿体も平滑筋を含んでおり、タダラフィルはこれらの筋肉を弛緩させます。これにより、海綿体が拡張し、血流が増加することで、勃起が促進されます。

3. in vitroの実験データ

タダラフィルの効果は、in vitro(試験管内での実験)で確認されています。具体的には、タダラフィルがヒト摘出陰茎動脈および海綿体平滑筋において弛緩作用を示すことが示されています。

  • 陰茎動脈の弛緩(EC50値:34nM): タダラフィルは、陰茎動脈平滑筋に対して34nMの濃度で、弛緩を引き起こします。EC50値は、薬物が半分の最大効果を示すために必要な濃度を表しており、34nMという値はタダラフィルが陰茎動脈の平滑筋に強力に作用することを示しています。
  • 海綿体平滑筋の弛緩(EC50値:13nM): 海綿体平滑筋においてもタダラフィルは弛緩作用を示し、13nMという非常に低い濃度で効果を発揮します。このことは、タダラフィルが非常に効率的に海綿体の平滑筋を弛緩させ、勃起に必要な血流を増加させることを示しています。

4. SNP(ニトロプルシドナトリウム)及びアセチルコリンによる弛緩作用の増強

タダラフィルは、SNP(ニトロプルシドナトリウム)およびアセチルコリンが引き起こす平滑筋の弛緩作用を増強させることが、in vitroで確認されています。

  • SNP(ニトロプルシドナトリウム): SNPはNO供与体で、NOを放出することで平滑筋を弛緩させます。タダラフィルは、SNPが引き起こす弛緩作用を増強させることが確認されています。タダラフィルがPDE5を阻害することで、cGMPの濃度が上昇し、SNPの効果が強化され、陰茎の血流が増加します。
  • アセチルコリン: アセチルコリンは、神経伝達物質であり、平滑筋を弛緩させる作用があります。タダラフィルは、アセチルコリンによる弛緩作用を増強させることが示されています。これも、タダラフィルによるcGMP濃度の上昇が関与しており、アセチルコリンの作用が強化されることによって、海綿体平滑筋の弛緩が増強されます。

5. 臨床的な意義

タダラフィルによる陰茎動脈および海綿体平滑筋の弛緩増強作用は、勃起不全(ED)治療において非常に重要です。勃起は、陰茎動脈から海綿体への血流の増加によって達成されますが、タダラフィルはその血流を増加させることによって、自然な勃起を促進します。

  • 血管の拡張: タダラフィルは血管を拡張させる作用を持ち、勃起に必要な血液の供給を増加させます。
  • 勃起の持続: また、タダラフィルは勃起を持続させる作用もあり、PDE5を阻害することでcGMP濃度を高く保ち、勃起を長時間維持します。

6. まとめ

  • タダラフィルは、陰茎動脈および海綿体平滑筋を弛緩させることで、血流を増加させ、勃起を促進します。
  • EC50値は陰茎動脈が34nM、海綿体平滑筋が13nMで、非常に低い濃度で効果を発揮します。
  • タダラフィルは、SNPアセチルコリンによる弛緩作用を増強し、さらに強力に血流を増加させ、勃起機能を改善します。

このように、タダラフィルは勃起に必要な血流の増加を促進し、勃起不全の治療に役立つ薬剤です。

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