シアリスの陰茎海綿体内cGMP濃度上昇作用
シアリス(タダラフィル)の陰茎海綿体内cGMP濃度上昇作用について詳しく解説します。
1. cGMPの役割
まず、cGMP(環状グアノシン一リン酸)は、血管の平滑筋を弛緩させる重要な役割を果たす分子です。陰茎において、性的刺激があると、一酸化窒素(NO)が海綿体に放出され、その結果としてcGMPが合成されます。cGMPは、海綿体の平滑筋に作用して弛緩を引き起こし、血流を増加させ、陰茎の勃起をサポートします。
しかし、cGMPはPDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素によって分解され、勃起が終了する方向に働きます。シアリス(タダラフィル)は、このPDE5を阻害することによってcGMP濃度を維持し、勃起を持続させる効果があります。
2. タダラフィルのcGMP濃度上昇作用
タダラフィルは、PDE5の阻害剤であり、陰茎海綿体内でのcGMP濃度の上昇を促進します。具体的には、以下のようなメカニズムが関与しています。
- NOの放出とcGMP合成: 性的刺激があると、陰茎の海綿体において一酸化窒素(NO)が放出されます。このNOが、海綿体平滑筋の内因性酵素であるグアニル酸シクラーゼを活性化させ、cGMPを合成します。このcGMPは、平滑筋を弛緩させることで血流を増加させ、勃起を促進します。
- タダラフィルの作用: タダラフィルはPDE5を選択的に阻害します。PDE5はcGMPを分解して血管を収縮させる働きを持っていますが、タダラフィルがこれを阻害することで、cGMPの分解が防がれ、その濃度が持続的に高い状態に保たれます。これにより、平滑筋の弛緩が続き、陰茎の血流が増加し、勃起が持続します。
3. in vitroデータの詳細
タダラフィル(30nM)が、ヒト摘出陰茎海綿体平滑筋中のcGMP濃度を有意に上昇させたという実験データに基づいています。この実験では、NO供与体であるニトロプルシドナトリウム(SNP)が使用されました。ニトロプルシドナトリウムはNOを放出する物質で、これが陰茎海綿体の平滑筋内でcGMPの合成を促進します。
タダラフィルが30nMの濃度で、NO供与体の存在下でcGMP濃度を上昇させることが示されたということは、タダラフィルが非常に低い濃度で効果を発揮し、cGMPの濃度を増加させることを意味します。この作用により、勃起機能が改善され、勃起を持続させることができます。
4. 臨床的な意義
このcGMP濃度の上昇作用が、タダラフィルの勃起不全(ED)治療における効果の基盤です。勃起のメカニズムにおいて、cGMPの濃度が十分に維持されることで、海綿体の平滑筋が弛緩し、血流が増加するため、自然な勃起反応をサポートします。
5. まとめ
- タダラフィルは、PDE5を阻害することによって、陰茎海綿体内のcGMP濃度を上昇させます。
- この作用により、平滑筋の弛緩と血流の増加が促進され、勃起が達成され、持続します。
- ニトロプルシドナトリウム(SNP)というNO供与体の存在下で、タダラフィルがcGMP濃度を有意に上昇させることがin vitroで確認されています。
このように、タダラフィルはcGMPの分解を防ぐことで、勃起を持続させる効果を発揮します。
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