肺気腫の治療
肺気腫は一度壊れた肺胞が元に戻らない病気なので、「治す」ことはできませんが、進行を遅らせ、症状を和らげることは可能です。
肺気腫の治療の5本柱
① 禁煙(最も重要)
- 肺気腫の最大の原因は喫煙
- これ以上肺胞を壊さないために、絶対に禁煙が必要
- 補助:ニコチンパッチ・チャンピックス(バレニクリン)など
禁煙なしでは、治療の効果は大きく減ります。
② 薬物療法
a. 吸入薬(気管支拡張薬)
肺胞は元に戻らないけれど、周囲の気道を広げることで、呼吸をしやすくします。
薬のタイプ | 例 | 効果 |
---|---|---|
LABA(長時間作用型β2刺激薬) | サルメテロール、インダカテロール | 気管支を広げる |
LAMA(長時間作用型抗コリン薬) | チオトロピウム(スピリーバ) | 気道の収縮を抑える |
ICS(吸入ステロイド) | フルチカゾンなど | 炎症を抑える(※喘息併発例に) |
LABA+LAMA+ICSの配合薬 | テリブル、トリメジー | 重症例で使用される吸入配合剤 |
b. 去痰薬
- 痰を出しやすくする(例:カルボシステイン、アンブロキソール)
c. 抗菌薬・ステロイド
- 急性増悪時に短期間使う
- 細菌感染や強い炎症があるときのみ
③ 呼吸リハビリテーション
︎ 効果的な呼吸を身につける
-
- 口すぼめ呼吸:呼気をゆっくりにして呼吸を楽に
- 腹式呼吸:呼吸筋を鍛える
︎ 筋力・持久力アップ
-
- 軽い運動(ウォーキング・エアロバイクなど)で体力を維持
- 呼吸困難で動かなくなる→さらに体力が落ちる悪循環を防ぐ
④ ワクチン接種(感染予防)
肺気腫の人は感染症に弱いので、定期接種が重要!
- インフルエンザワクチン(毎年)
- 肺炎球菌ワクチン(5年ごと目安)
風邪がきっかけで呼吸不全になるリスクを下げます
⑤ 在宅酸素療法(HOT)
酸素交換が難しくなった重症例に行う治療です。
- 安静時の動脈血酸素分圧(PaO₂)≦ 55mmHgなどが基準
- 酸素ボンベや濃縮器を使って、24時間〜必要に応じて酸素を吸入
- 在宅で可能、医療費助成制度あり
酸素不足による心臓への負担(肺性心)を防ぎます
日常生活の工夫ポイント
工夫 | 内容 |
---|---|
水分摂取 | 痰をやわらかくする |
冷気・大気汚染を避ける | マスク・空気清浄機 |
栄養管理 | 体力維持、やせすぎ予防(進行するとカロリー消費↑) |
睡眠時の呼吸管理 | 酸素飽和度が下がりやすいので要注意 |
ストレス管理 | 不安や焦りが息苦しさを悪化させることも |
急性増悪のサインと対応
- 息切れが急にひどくなる
- 痰の色や量が変化(緑や黄色)
- 発熱や全身のだるさ
︎ すぐに受診が必要。早期対応が予後を左右します。
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