ザガーロ(一般名:デュタステリド)の添付文書に記載されている副作用情報(第11章)について、以下に詳しく解説します。
11.1 重大な副作用
■ 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- 内容:AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇を伴う肝機能障害や黄疸が報告されています。
- メカニズム:デュタステリドは肝臓で代謝されるため、肝細胞に負担がかかり、炎症や胆汁うっ滞が起きることがあります。
- 対応:
- 定期的に肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP、ビリルビンなど)を行う。
- 異常値が確認された場合は直ちに投与中止し、消化器科等に紹介する。
- 症状例:
- 倦怠感、食欲不振、皮膚や眼球結膜の黄染(黄疸)、褐色尿など。
11.2 その他の副作用
以下、カテゴリ別に分けて解説します。
◆ 過敏症関連
頻度 |
症状例 |
1%未満〜頻度不明 |
発疹、蕁麻疹、アレルギー反応、そう痒症(かゆみ)、限局性浮腫、血管性浮腫 |
- 備考:アレルギー反応は軽症の皮膚症状から、まれにアナフィラキシー様症状(頻度不明)に発展する可能性がある。
- 対応:症状が出たらすぐに服用を中止し、抗アレルギー薬の使用を検討。
◆ 精神神経系
頻度 |
症状例 |
1%未満 |
頭痛、抑うつ気分、浮動性めまい、味覚異常 |
- 抑うつ気分:気分の落ち込みや意欲低下を報告するケースがあり、まれに自殺企図に至ったとの報告もあります(PFSとも関連)。
- 味覚異常:食べ物の味がわからなくなることがあり、QOLに影響。
◆ 生殖系および乳房障害
頻度 |
症状例 |
1%以上 |
性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害) |
頻度不明 |
精巣痛、精巣腫脹、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感) |
- 注目点:
- 性機能障害は、服用中止後も改善しないことがあり、「ポスト・フィナステリド症候群(PFS)」に類似した持続性の報告があります。
- 女性化乳房などは、男性ホルモン作用の低下とエストロゲン相対優位によって発生。
- 対応:患者からの自発的な訴えがなければ気づきにくいため、定期的な問診が重要。
◆ 皮膚症状
頻度 |
症状例 |
頻度不明 |
体毛の脱毛(脱毛症)、多毛症(毛が増える) |
- 補足:体毛(腕や脚など)の脱落が見られる一方、まれに髭などの多毛症が出ることも報告されています。
◆ 消化器症状
頻度 |
症状例 |
1%未満 |
腹部不快感 |
頻度不明 |
腹痛、下痢 |
- 備考:重症化することは稀ですが、症状が長引く場合は消化器系の精査を行うことが望ましい。
◆ その他
頻度 |
症状例 |
頻度不明 |
倦怠感、血中CK(クレアチンキナーゼ)増加 |
- CK増加:筋肉痛や横紋筋融解症の前兆の可能性もあるため、著明な上昇時には精査が必要。
総合的なポイント
カテゴリ |
主な副作用 |
備考 |
重大 |
肝障害、黄疸 |
血液検査でモニタリング |
性機能 |
勃起不全、リビドー低下 |
服薬中止後も持続の可能性あり |
精神面 |
抑うつ、頭痛 |
気づきにくいため注意深い問診を |
アレルギー |
蕁麻疹、浮腫 |
カプセル破損による接触にも注意 |
消化器・皮膚 |
下痢、脱毛、多毛 |
通常は軽度 |
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