ザガーロの薬効薬理
ザガーロ(成分名:デュタステリド)の薬効薬理について、添付文書の内容をもとに詳しく解説します。
18.1 作用機序
- デュタステリドは5α還元酵素阻害剤です。
- 男性ホルモンの一種であるテストステロンは、体内で5α還元酵素(1型および2型)によって、より強力なアンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。
- DHTは男性型脱毛症(AGA)の主な原因因子とされています。DHTが毛包に作用することで、毛髪の成長期が短縮し、薄毛が進行します。
- デュタステリドは、この1型および2型の5α還元酵素の両方を阻害することで、DHTの生成を抑制し、脱毛の進行を抑えます。
18.2 5α還元酵素阻害作用(In vitro試験)
- 実験室内の試験(in vitro)で、ヒトの1型および2型の5α還元酵素の両方を阻害することが確認されています。
- これにより、体内でDHTへの変換が強力に抑制されることが示唆されています。
18.3 血清中ジヒドロテストステロン濃度の低下
- 男性型脱毛症患者にザガーロを0.1mgまたは0.5mgを1日1回、24週間連続で投与した臨床試験の結果では、血液中のDHT濃度が大幅に減少しました。
評価時点 | プラセボ群の変化率 | デュタステリド 0.1mg | デュタステリド 0.5mg |
---|---|---|---|
12週時 | −2.6% | −85.8% | −91.2% |
24週時 | −6.2% | −83.6% | −90.9% |
- プラセボ群ではほとんど変化がないのに対し、0.1mgで約85%、0.5mgで約90%ものDHTが減少している点が注目されます。
- この結果は、デュタステリドが非常に強力に血中のDHTを低下させることを示しています。
18.4 頭皮中のジヒドロテストステロン濃度低下作用
- 血中のDHT減少と並行して、頭皮(毛髪の生えている部位)におけるDHTの濃度も大幅に減少しています。
- デュタステリド0.1mg投与で約40%、0.5mg投与で約52%のDHT減少が確認されました。
- 血清中の減少率ほど大きくはないですが、局所のDHT減少は毛髪の成長に直接影響するため重要な指標です。
- さらに、頭皮中のDHT濃度低下と毛髪数の増加(発毛効果)には関連性が認められており、DHTの低下が発毛促進に寄与していることが示唆されています。
- これらのデータは、主に外国人を対象にした臨床試験から得られていますが、日本人を含む他の集団にも類推されます。
まとめ
- ザガーロ(デュタステリド)は、テストステロンのDHTへの変換を強力に阻害することで作用する薬剤です。
- 血中と頭皮中のDHTを大幅に低下させ、男性型脱毛症の進行を抑制し、発毛を促進します。
- 1型・2型の両方の5α還元酵素を阻害するため、フィナステリド(2型主阻害)より広範に作用するとされています。
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